Monday, September 13, 2010

Bill Evansを偲びながら

レコードをターンテーブルにセットして針を落とした次の瞬間の、タンターンというMy Foolish Heartの出だしの音や、シンバルがシャンシャーンと入る音、カチャカチャという食器の音の生々しさは恐らく生涯忘れることはないだろう。
Bill EvansのWaltz for Debbyは、ジャズを聴き始めて最も初めに買ったジャズのレコードの1枚だ。
これがBillの最高傑作だと思っている方はきっと沢山いるだろうし、検索すればかなり多くの個人によるレコード評が出て来るだろう。
だからそんな事を取り立ててここに改めて記述する必要もないし、黙って聴けば分かることなのだよね。

どのような理由なのかは分からないが、人間の記憶は時として勝手に変容してしまうことがある。
Billの晩期の作品でYou Must Believe In Springというレコードがあるが、私の記憶の中ではこのLPを買って直ぐにBillが亡くなった事になっていた。
ところが検索で出てくる記事は殆ど彼の追悼盤として出たとある。
私はつい今日までそれを本気にしていなかったのだが、どうにも気になって今日ようやくのこと古いレコードを探し出し、油井正一氏のライナーノーツを読んで自分の記憶が完全に間違っていたことを知らされた。
Billが亡くなった1980年の翌年、1981年の春にこのLPは発売されていたのだった。
これは多分1982年に亡くなったGlenn Gouldと、彼のゴルトベルク変奏曲再録盤の記憶と摩り替わってしまったのではないかと推測する。(未確認)

Bill Evansに駄作なしというのは頷ける話ではあるが、私にとっては上記の2枚、初期のWaltz for Debbyと晩期のYou Must Believe In Springがベストだ。
You Must Believe In Springはあまり語られることはないのかも知れないが、Waltz for Debbyの頃とは違って晩年の仄暗く悲しげな雰囲気がまた聴き手の胸を撃つ。
1曲目、B Minor Waltzの静かな出だしのピアノの音は、My Foolish Heartの出だしの音と同様の感動を味あわせてくれる。

Waltz for DebbyはLPレコードでは1曲目のMy Foolish Heart、最後は6曲目でMilestonesだった。
CDの時代になってリリースされたWaltz for Debbyは、LPをそのままCDにした全6曲のものだった。
ところが今販売されているCDには別テイク等が含まれていて、I loves you, Porgyまで全部で10曲程入っている。
ボーナストラックは最後に回して、第1曲目から第6曲目まではオリジナル通りに編集してくれれば良かったものをと感じること頻り。
何故なら長年聴いているとオリジナル6曲すべてのトラックが頭に入っているために、その順番でないと白けてしまうし、また同じ曲をテイク別に続けて聴かされてしまうという馬鹿なことになっているのだ。
従って私のiPhoneに収録してあるデータは別テイクやPorgyは外してオリジナル通りにしてある。
一方、You Must Believe In SpringのCDはボーナストラック3曲をうまく末尾にまとめてくれている。
こう言う配慮はうれしいね。

さてもこの9月15日はBillの没後30周年の命日だ。
そのせいか8月末からは毎晩のようにBillのレコードを聴いている。
今、流れているのはYou Must Believe In Springの2曲目のレコードタイトル曲、10代の頃に観た仏映画「ロシュフォールの恋人たち」の主題歌。
 

Wednesday, September 1, 2010

今でもMahlerを聴いています。

最近Mahlerを聴き始めた。
実に20数年振りになる。

JBL 4331Aをドライブしていたパワーアンプが壊れ、続いてCDプレーヤーが壊れてからは、Macに繋いだシステムでBGMとして小音量で聴く以外にはあまり音楽を聴かなくなった。
従ってクラシックは殆ど聴かなくなっていたのだった。

本当にこの2年ほど前から昔のロックやジャズを再び聴くようになり、ようやくクラシックにも手が伸びる様になって来た。
Mahlerは2番、3番、5番が好きで、オケを替え指揮者を替え、いろいろ聴いたものだった。

再び聴くにあたっては、まずMahlerが書いた最も美しいメロディーの交響曲第3番第6楽章から始めた。
1982年のClaudio Abbado/VPOによる演奏を探し出して、CDを見てみるとなんと第6楽章を単独で聴くことが多かったためだろう、CD2のレーベル面がボロボロになっていた。
CDの黎明期の製品だ。
独グラモフォンの輸入盤でかなり高額だったが、製造品質は今とはかなり違っていたのだろうね。
これは私にとってはかなり思い入れのある演奏で、同じAbbadoでも1990年のBPOとの演奏と比べても、遥かに美しい演奏に思える。

もっとも再生する環境が全く違うので、昔聴いていたように4331Aを大音量で鳴らすとBPO盤がどのように聴こえるのかは判らない。
昔の記憶でVPO盤がすごいと美化されてしまっている可能性もある。

このクラシックを聴かなくなっていた20数年の間に、Pierre BoulezがVPOでMahlerを振っていたり、Bernard HaitinkがCSOでMahlerを振っていたりと、調べるに従って驚くことが沢山ある訳。

暫くはいろいろな演奏を集めて、少しづつ聴き返して行こうと思っている次第。
取り敢えずネットで調べて評価の高かったMichael Gielenの全集を手に入れてみた。
13枚組、3,990円。とんでもない価格だが、価格で演奏の質が決まる訳ではない。

さてそろそろG4の頃のオーディオ環境を今のiMacに再構築するとしようか。
 

Friday, July 23, 2010

遠い渚 - Tracey Thorn

Twitterで「あなたの夏うたって何ですか?」という問いかけがあったので、Tracey Thornの「遠い渚」だと答えた。
確かに1982年だか83年辺りにLPを買って以来、決まって夏に聴いている。
まだ独身の頃、茹だるような暑さの中、独り上半身は裸で朦朧としながら、部屋の中で寝転がってこのLPを聴いていたような記憶だ。

確かにこの音楽は夏の音楽なのだが、日本の夏ではない。日差しががんがんと射して来るような夏なのではないのだ。
言ってみれば薄曇りのような夏日で、気温だけがやたら高く、気怠いという言葉がぴったりと来る夏のイメージなのだった。
そして気怠い暑さの中、Traceyの音楽を聴く時、さらに気怠るさは増幅されるのであった。

さて独身貴族を謳歌していたこの当時、私の向かっていた音楽の方角はジャズやロックではなく、真直ぐにクラシックであり、取分けMaherとBruknerばかりに向いていた。
その私が何故このレコードをチョイスしたのだろうか?
何のことはない、「遠い渚」というタイトルと、ジャケットの可愛いイラストに惹かれただけなのであった。所謂ジャケ買いという奴。

この当時「ネオアコースティック」などというカテゴリーは聞いたこともなく、今頃になって「ネオアコの名盤」などという評価を聞く。
そんなもんかと思いながらも、知らずに買って聴いていたレコードが、後に名盤だと評されるのは嬉しいもんだ。

さて今回この「遠い渚」はLPしか持っていなかったので、CDを探し出して購入してみた。
iPhoneには一応Vinyl Ripしたものがあるのだが、LPにしても3,000枚も並んでいると簡単には見つけられないので、高音質で再Ripしようと思い立ちCDを探した次第。
何と、CDのタイトルは「遠い渚」ではなく、「ア・ディスタント・ショア」になってしまい、淡いピンクだったジャケットの地色は、CDの表紙になって真っ白になってしまっていた。
オリジナルは尊重して貰いたいもんだがねぇ。


Small Town Girl - Tracey Thorn
 

Sunday, July 11, 2010

Carole King & James Taylor Live at the Troubadour

最近聴いたレコードの中で最も感動的だったのが、このCarole King & James Taylor Live at the Troubadourだ。
L.A.のライブハウス、トルバドールでの2007年のライブだという。この春の来日に合わせて発売されたようなタイミングだった。

CDとDVDの2枚組なのだが、最初はCDだけ聴いていた。
まず最初に驚かされるのが、昔のまんまじゃないか!という事。
Sweet Baby Jamesの頃のJ.T.、Tapestryの頃のキャロル・キング、さらには当時の西海岸のスタジオミュージシャン、セクションの面々・・・
歌い方は当時より多少変化したものの、あの頃のまんまだよ。
良い音楽というのは本当に色褪せないものなんだね。
この事をTwitterで呟いたら、何と海の向こうからRTされたのにはびっくりした。

DVDを観たのは、CDを聴いてから2ヶ月位後になってからだった。
実はDVDは観たくなかった。CDを聴いて味わった感動が果たしてそのままDVDでも味わえるのか疑問があったのだ。
J.T.は若くして禿げてしまったし、キャロル・キングはどんなお婆ちゃんになっているかまったく知らなかった。
でもそんな事を気にする必要なんか殆ど無かったんだね。
特にセクションの連中が一人ひとり紹介されながら登場するシーンを見ていたら、やっぱりこいつら昔のまんまだわといった印象だったよ。
変わったのはJ.T.の髪の毛だけだったのではないか!

まぁ、70年代の音楽シーンを愛する人間にとって、このCD+DVDは必携のものということができる。
良いものは変わらない、これだけは声を大にして言っておこう。



YouTubeでLive at the Troubadourの映像を探す。
 

Thursday, July 8, 2010

そう言えばiPhone4は、発売になったが・・・

最近面倒くさいことが多すぎて、かなりこのブログを放っておいてしまった。

そうこうしている内にiPhoneもいよいよ4になってしまったが、3G発売時に2年の分割で購入しているので、最低あと2ヶ月位経たないとすっきりしないため、機種変更での予約はしないでおいた。
特に3Gで困るようなことはないので尚更である。

さて過日Twitterで、オーディオテクニカのBlueTooth
ワイヤレスステレオヘッドセットATH-BT02に関する呟きでこの製品の発売を知った。
会社の帰りがけに家電販売店に寄ってみると案の定販売していたのでそのまま深く考えずに買ってみた。単にBlueTooth機器を使ってみたかっただけなのだった。

この間まで使っていたヘッドフォンはPHILIPSのSHE9700で価格が安い割に結構な音を聞かせてくれていた。ただiPhoneで使うには、オーディオテクニカのAT336Tというアダプタを併用せざるを得ず、長ったらしいコードが邪魔であったのは言うまでもない。
このSHE9700の前には純正のイヤフォンを含め3品番ほど使ったりしていたが、音質的にそこそこ満足できるものはなかった。

今回の
ATH-BT02は内臓の3D BASSエフェクトをONにしている限りは帯域バランスは良いようである。ただ弦楽器は若干金属質であり、強奏部で歪が感じられることもあるが、ジャズやロックでは元気があってよろしい!と言った程度か。
オーディオテクニカは低域がたっぷりとしていないので、音質的に痩せぎすなイメージがあったが、この3D BASSエフェクトで低域が強化されるのは◎だよ。
ま、所詮BlueToothによるワイヤレスだ、音質を追求すると言うよりもハンドリングの良さを評価する方が優先だな。

2010.09.13追記
2ヶ月程使ったところで音質と言うより帯域バランスが変わってきた。3D BASSエフェクトは必要ない位に低域がタップリとしてきた事にびっくり。
所謂エイジングが済んで、製品本来の音になってきたのだろう。
ここまで変わるとは思ってもいなかったよ。