Monday, February 7, 2011

Gary Mooreを偲ぶ

Gary Mooreの訃報に接したのは、昼食を摂っていた焼肉屋さんのカウンターでだった。
いつもの通り食事が出て来るまでの暇つぶしとして、iPhoneでネットをブラウジングする際によく訪れる海外の音楽サイトのトップページに、それは記されていた。

今年の1月の4日にAvril Lavigneがスノーボードの最中に立木に激突して死んだという嘘で騙された事があったので、念のためにと引き続きGaryのオフィシャルホームページを訪ねてみた。
そこは既に全面黒地に白抜きで彼の死を伝えているのだった。
死因については記されていなかった。

会社からの帰り道、iPnoneに入っている彼の曲を聴いていた。
"Sunset"に続いて"Parisienne Walkways"が流れた時、不覚にも何故か知らず涙を零してしまったので、誰にも悟られないようするのが癪だった。

Gary Mooreは昔から好きで聴いていた訳ではない。
かつていつも行っていたレコード店で突然掛かった曲の演奏者が誰かを尋ねると、その店の店長は壁に貼ってあった彼のポスターを指さしながら、「ゲイリー・ムーア」と教えてくれた。
その時は彼のレコードを買う訳でもなくそのままになっていたのだが、その後20年過ぎてから突然その時の曲が何だったのか知りたくなり、彼のCDを買い始めた。
それは50を過ぎてLes Paulを手に入れ、三たびギターを弾き始めたことと無関係ではなかった。

当然ブルース好きの私としては、ブルース転向後の"Still Got The Blues"辺りから聴き始める訳で、ハードロックは好きではなかった人間としては回り道をしてようやく"Wild Frontier"の中の"The Loner"に行き当たる。
あ、この曲だったんだ、とは思ったものの、残念ながら既に20年前に受けた曲のイメージとは結構ズレてしまっていた。
聴き手の感覚が歳を追うごとに変わって来ていたということなのだろう。

私は数少ない大人のロッカーとしての彼が好きで、中でもブルース系の曲は今でも聴いている。
ただ残念ながら彼の演奏はブルースとしては弾き過ぎだと思っている。
激情のままにガーッと弾きまくってしまうよりも、感情を抑えて、抑えて、抑えきれなくなって爆発するような、もっと大人の枯れた演奏が欲しいと思っていた。
それはこれからでも決して遅くはなく、また多くのブルースマンに倣って爺になってもずっとブルースを志向して欲しいと思っていたのだった。

合掌。
 

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