レコードをターンテーブルにセットして針を落とした次の瞬間の、タンターンというMy Foolish Heartの出だしの音や、シンバルがシャンシャーンと入る音、カチャカチャという食器の音の生々しさは恐らく生涯忘れることはないだろう。
Bill EvansのWaltz for Debbyは、ジャズを聴き始めて最も初めに買ったジャズのレコードの1枚だ。
これがBillの最高傑作だと思っている方はきっと沢山いるだろうし、検索すればかなり多くの個人によるレコード評が出て来るだろう。
だからそんな事を取り立ててここに改めて記述する必要もないし、黙って聴けば分かることなのだよね。
どのような理由なのかは分からないが、人間の記憶は時として勝手に変容してしまうことがある。
Billの晩期の作品でYou Must Believe In Springというレコードがあるが、私の記憶の中ではこのLPを買って直ぐにBillが亡くなった事になっていた。
ところが検索で出てくる記事は殆ど彼の追悼盤として出たとある。
私はつい今日までそれを本気にしていなかったのだが、どうにも気になって今日ようやくのこと古いレコードを探し出し、油井正一氏のライナーノーツを読んで自分の記憶が完全に間違っていたことを知らされた。
Billが亡くなった1980年の翌年、1981年の春にこのLPは発売されていたのだった。
これは多分1982年に亡くなったGlenn Gouldと、彼のゴルトベルク変奏曲再録盤の記憶と摩り替わってしまったのではないかと推測する。(未確認)
Bill Evansに駄作なしというのは頷ける話ではあるが、私にとっては上記の2枚、初期のWaltz for Debbyと晩期のYou Must Believe In Springがベストだ。
You Must Believe In Springはあまり語られることはないのかも知れないが、Waltz for Debbyの頃とは違って晩年の仄暗く悲しげな雰囲気がまた聴き手の胸を撃つ。
1曲目、B Minor Waltzの静かな出だしのピアノの音は、My Foolish Heartの出だしの音と同様の感動を味あわせてくれる。
Waltz for DebbyはLPレコードでは1曲目のMy Foolish Heart、最後は6曲目でMilestonesだった。
CDの時代になってリリースされたWaltz for Debbyは、LPをそのままCDにした全6曲のものだった。
ところが今販売されているCDには別テイク等が含まれていて、I loves you, Porgyまで全部で10曲程入っている。
ボーナストラックは最後に回して、第1曲目から第6曲目まではオリジナル通りに編集してくれれば良かったものをと感じること頻り。
何故なら長年聴いているとオリジナル6曲すべてのトラックが頭に入っているために、その順番でないと白けてしまうし、また同じ曲をテイク別に続けて聴かされてしまうという馬鹿なことになっているのだ。
従って私のiPhoneに収録してあるデータは別テイクやPorgyは外してオリジナル通りにしてある。
一方、You Must Believe In SpringのCDはボーナストラック3曲をうまく末尾にまとめてくれている。
こう言う配慮はうれしいね。
さてもこの9月15日はBillの没後30周年の命日だ。
そのせいか8月末からは毎晩のようにBillのレコードを聴いている。
今、流れているのはYou Must Believe In Springの2曲目のレコードタイトル曲、10代の頃に観た仏映画「ロシュフォールの恋人たち」の主題歌。
Monday, September 13, 2010
Wednesday, September 1, 2010
今でもMahlerを聴いています。
最近Mahlerを聴き始めた。
実に20数年振りになる。
JBL 4331Aをドライブしていたパワーアンプが壊れ、続いてCDプレーヤーが壊れてからは、Macに繋いだシステムでBGMとして小音量で聴く以外にはあまり音楽を聴かなくなった。
従ってクラシックは殆ど聴かなくなっていたのだった。
本当にこの2年ほど前から昔のロックやジャズを再び聴くようになり、ようやくクラシックにも手が伸びる様になって来た。
Mahlerは2番、3番、5番が好きで、オケを替え指揮者を替え、いろいろ聴いたものだった。
再び聴くにあたっては、まずMahlerが書いた最も美しいメロディーの交響曲第3番第6楽章から始めた。
1982年のClaudio Abbado/VPOによる演奏を探し出して、CDを見てみるとなんと第6楽章を単独で聴くことが多かったためだろう、CD2のレーベル面がボロボロになっていた。
CDの黎明期の製品だ。
独グラモフォンの輸入盤でかなり高額だったが、製造品質は今とはかなり違っていたのだろうね。
これは私にとってはかなり思い入れのある演奏で、同じAbbadoでも1990年のBPOとの演奏と比べても、遥かに美しい演奏に思える。
もっとも再生する環境が全く違うので、昔聴いていたように4331Aを大音量で鳴らすとBPO盤がどのように聴こえるのかは判らない。
昔の記憶でVPO盤がすごいと美化されてしまっている可能性もある。
このクラシックを聴かなくなっていた20数年の間に、Pierre BoulezがVPOでMahlerを振っていたり、Bernard HaitinkがCSOでMahlerを振っていたりと、調べるに従って驚くことが沢山ある訳。
暫くはいろいろな演奏を集めて、少しづつ聴き返して行こうと思っている次第。
取り敢えずネットで調べて評価の高かったMichael Gielenの全集を手に入れてみた。
13枚組、3,990円。とんでもない価格だが、価格で演奏の質が決まる訳ではない。
さてそろそろG4の頃のオーディオ環境を今のiMacに再構築するとしようか。
実に20数年振りになる。
JBL 4331Aをドライブしていたパワーアンプが壊れ、続いてCDプレーヤーが壊れてからは、Macに繋いだシステムでBGMとして小音量で聴く以外にはあまり音楽を聴かなくなった。
従ってクラシックは殆ど聴かなくなっていたのだった。
本当にこの2年ほど前から昔のロックやジャズを再び聴くようになり、ようやくクラシックにも手が伸びる様になって来た。
Mahlerは2番、3番、5番が好きで、オケを替え指揮者を替え、いろいろ聴いたものだった。
再び聴くにあたっては、まずMahlerが書いた最も美しいメロディーの交響曲第3番第6楽章から始めた。
1982年のClaudio Abbado/VPOによる演奏を探し出して、CDを見てみるとなんと第6楽章を単独で聴くことが多かったためだろう、CD2のレーベル面がボロボロになっていた。
CDの黎明期の製品だ。
独グラモフォンの輸入盤でかなり高額だったが、製造品質は今とはかなり違っていたのだろうね。
これは私にとってはかなり思い入れのある演奏で、同じAbbadoでも1990年のBPOとの演奏と比べても、遥かに美しい演奏に思える。
もっとも再生する環境が全く違うので、昔聴いていたように4331Aを大音量で鳴らすとBPO盤がどのように聴こえるのかは判らない。
昔の記憶でVPO盤がすごいと美化されてしまっている可能性もある。
このクラシックを聴かなくなっていた20数年の間に、Pierre BoulezがVPOでMahlerを振っていたり、Bernard HaitinkがCSOでMahlerを振っていたりと、調べるに従って驚くことが沢山ある訳。
暫くはいろいろな演奏を集めて、少しづつ聴き返して行こうと思っている次第。
取り敢えずネットで調べて評価の高かったMichael Gielenの全集を手に入れてみた。
13枚組、3,990円。とんでもない価格だが、価格で演奏の質が決まる訳ではない。
さてそろそろG4の頃のオーディオ環境を今のiMacに再構築するとしようか。
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